2009年09月25日

新型インフルエンザと企業のリスク管理

青山 正治

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■要旨

1. 日本国内では、2009年5月に新型インフルエンザ(A/H1N1 型)の感染が確認され、以降全国に感染が拡大した。通常、夏場には感染が収まる季節性のインフルエンザとは異なり、この新型インフルエンザは現在も感染拡大が続いており、慢性疾患を持つ感染者の死亡や幼児の脳症による重症化も確認されている。いよいよ新型インフルエンザが心配されていた本格的な流行に入った。
2. 国内での感染確認後は、非常に緊迫したマスコミ報道がなされたが、今回の新型インフルエンザは高病原性ではないため、その後は社会全体の問題意識もやや低下した。しかし、集団感染の拡大が続く中、再度、問題意識が喚起された。
3. 今回の新型インフルエンザは、従前より警戒されていた高病原性の鳥由来の新型インフルエンザ(A/H5N1型)でなかったことは幸いであった。それでも当初は、BCP(事業継続計画)を構築していた企業では、想定していた高病原性の新型インフルエンザに対応する計画が一部発動され、マスク着用やサーモグラフィによる発熱者のチェックなどが行われた。その後、緩和されたにしても、企業や一般家庭にとっても貴重な経験を得た出来事であった。
4.今後、企業はこれまで蓄積した経験を現在の新型インフルエンザの感染拡大防止に活かすと同時に、潜在的な脅威である高病原性の新型インフルエンザへの備えを固める必要がある。企業ではBCPやBCM(事業継続マネジメント)などの構築や強化が一層必要とされる。社会的な影響が大きい問題であるため企業にとどまらず社会全体で引続き備えを進め、一般市民も最新の情報に対応した準備が必要である。

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