コラム
2009年04月28日

介護保険の“婚カツ” ~次なる相手は誰?~

  阿部 崇

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介護保険制度では満40歳以上が被保険者であり、介護サービスを利用する権利を有し、介護保険料を支払う義務を負う。保険料の額は、3年に1回、保険者の市町村ごとに、概ね月3,000円から4,000円の水準で設定されるもので、大雑把に言うと、利用が見込まれるサービスの費用総額の半分を被保険者数で割り戻した額である。3年間で使う費用の半分(もう半分は公費)を3年間で皆から集める、という仕組みである。
   先日23日、00年の制度スタートから数えて4回目となる介護保険料の全国平均が厚労省から公表された。全国平均で月4,160円、前回(06~08年度)から、僅か1.7%の伸びにとどまった、ということである。介護崩壊・制度の持続可能性などと言われながらも、「そんなに上がってないな」との印象もあるかもしれない。しかし、制度改正、報酬改定のたびに市町村首長からは「これ以上保険料を上げることはできない」という声があがり、保険財政事情が苦しいことには変わりはないのが事実であろう。

保険料の算出根拠や給付と負担の考え方には様々な意見があるところであるが、今回は、保険料引下げのウルトラCともいえる、介護保険制度と他の制度の統合に着目したい。
   保険料を引き下げるには2つの方法があり、一つは「使う費用」を小さくすること、もう一つが「払う人」を多くすること、である。割り算の分子を小さくするか、分母を大きくするか、である。
   制度施行以来、長年検討されているのが「被保険者の範囲拡大」の問題、すなわち、分母を大きくする方法である。2000年当時は、給付と負担の関係から介護保険サービスを受ける可能性のある人(満65歳以上)、自身の親御さんがその年齢層にある人(満40歳以上)が被保険者と設定された(と言われている)。そこで、分母を大きくする(被保険者の年齢層を下げる)方法として考えられたのが、“ケア”や“支援”という使われる言葉が近しい障害者施策(自立支援制度)との統合であった。これなら、給付と負担の関係を維持しながら、被保険者の年齢層を満20歳からに拡大することができる、と。
   しかし、使われる言葉が同じでも、障害者施策と高齢者施策(介護保険)には「就労」、「サービス内容」、「費用負担」、「介護・支援者」のあらゆる場面での違いがあり、何より根本的に保障の性格(国の関わり方)に違いがある。もちろん、当事者(障害者団体等)からの反対も根強く、結局は障害者施策との縁談はどうやら最近破談となったようである。

ただ、介護保険制度に「分母を大きくする」必要があることには変わりはない。次なる結婚相手を探して、介護保険は、まさに“婚カツ”中なのである。狙いは「後期高齢者医療制度」であろうか。来春の診療報酬改定において、要医療(看護)認定、自己負担割合、ケア(サービス)マネジメント・・・、制度の中身が近づいてきたら婚約発表も近いかもしれない。

阿部 崇

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