コラム
2009年04月08日

医療は2年、介護は3年。

  阿部 崇

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今年4月、3年に1度の介護報酬改定が行われた ―――― 。
   わが国の社会保険制度の中でも、医療保険制度(健康保険制度)と介護保険制度はその基本的な制度骨格が近しい。被保険者からの保険料徴収と公費(税金)を財源として、治療や薬等の医療サービス、ホームヘルパーの訪問サービスや老人施設への入所等の介護サービスを給付するという単年度会計の仕組みである。
   それぞれ給付に必要な財源を想定し、それを保険料や公費として準備することになるが、その必要な財源を算出する基礎になるのが、医療サービス、介護サービスの「単価」である。制度ではそれぞれ診療報酬、介護報酬と呼ばれ、手術をしたら○○点、ヘルパーさんが来てくれたら△△単位、これに10円程度を掛けた値段である。
   これらは数年に一度、「時の経済情勢、治療方法の進化や新薬の登場、ケア技術の向上などを適切に反映させるため」として見直しが行われる。それが報酬改定である。報酬改定の具体的な中身には様々な議論があるところであるが、今回は、診療報酬改定と介護報酬改定の絶妙な“ズレ”に着目したい。
   診療報酬改定は2年ごと、介護報酬改定は3年ごとに行われている。診療報酬改定は西暦の偶数年に行われ次回は来年2010年4月、介護報酬改定は今年行われたので次は3年後の2012年である。つまり、6年ごとに同時に改定(図)、次の年は両制度とも一休み()、それから診療報酬()、介護報酬()、診療報酬()の順に改定され、翌々年の同時改定の前に両制度が揃って準備()、というサイクルを繰り返すのである。

図1

意図的か、偶然か、このサイクルを利用して両制度は様々な変化を遂げている(と思われる)。医療保険制度に導入したい仕組みを介護報酬改定でまず“試し打ち”。うまくいかなかったら次の診療報酬改定では“その駒は出さない”という具合である。その逆もまた然り。また、“ガラガラポン”したいときは6年待てばそのタイミングはやってくる。
   入院患者や入所者の状態区分による報酬の設定(介護から医療へ)、長期入院・入所の居住費食費の自己負担化(介護から医療へ)などが主なものである。個々の改定内容の評価は別問題として、この両制度の絶妙な“協力関係”はしばらく続くと思われる。

次の介護報酬改定の予測を立てるには ―――― 来年2010年4月の診療報酬改定、特に後期高齢者医療の改定内容も一つのヒントになるだろう。

阿部 崇

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