コラム
2009年01月01日

SR(社会的責任)時代の到来-ISO26000の国際標準化に向けて進む検討

  柄田 明美

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現在、国際標準化機構(International Organization for Standardization)では、ISO26000:「組織の社会的責任(SR)」に関する国際規格案の作成と検討を進めている。2008年6月にはタスクフォースで作成した総合原案を公表し、日本でも財団法人日本規格協会がホームページに翻訳文書を掲載し、現在パブリックコメントを募集している(詳細は、日本規格協会のホームページをご覧頂きたい)。

ISOと言えば、環境マネジメントシステムに関するISO14000シリーズを思い浮かべる方が多いだろう。こちらは第三者機関による審査と認定が行われることが制度の柱となっている。他方、このISO26000は、認証を目的としない「社会的責任に関するガイダンス」である。組織はどのような認識を持ち、何を実行すべきなのかなどについて、企業だけではなく、すべての組織に適用できるガイダンスとなることを目指している。つまり、全世界共通の「社会的責任」の定義を行おうとするものである。
   ISOでは、世界各国および国際団体から構成されるワーキンググループを設け、多様で幅広いステークホルダーの参加による検討作業を積み重ねてきた。日本でも、日本規格協会内に設置されているISO/SR国内委員会が中心となり、さまざまな議論が行われているところである。

「すべての組織」といった場合、日本では自治体および独立行政法人、財団法人等がどう対応していくのかが大きなポイントではないだろうか。
   公共経営改革の流れの中、自治体および独立行政法人、財団法人等は、事業の透明性と公開性を求められており、以前に比べて情報公開は格段に進んできている。しかしながら、「公益」あるいは「公共」を担う組織としての責任については、認識が充分とは言えない現状もある。
   企業にCSRとして多様なステークホルダーへの説明責任や社会的責任が求められている今、「公益」あるいは「公共」を担う組織こそ、あらためて、組織が担う社会的責任とは何か、それをどのような形で実践していくのかを考えることが不可欠であると言えるだろう。「公共性の高い業務(事業)を担っていること=組織として社会的責任を果たしていること」ではないはずである。

ISO26000については、「すべての組織」の範囲をどう考えるのか、また、ガイダンス文書という位置付けであることから果たしてどこまで影響力や拡がりを持つことができるのかが大きな議論になっている。世界各国からよせられる意見を集約する作業は今後も続けられ、2010年末までの成立を目指している。

いよいよ、すべての組織が社会的責任を意識し、実践する「SR時代」到来の兆しである。

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