2008年12月01日

生活保護は老後の頼りになるのか

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基礎年金についてしばしば聞かれるのが、生活保護があるために保険料を払うインセンティブが低下するという議論である。40年間保険料を払って得られる満額の基礎年金は夫婦で13万2000 円、これに対し生活保護の基準額は東京都区部でおよそ12万円、家賃など住宅手当を加えると19万円近くなる。医療費も別に全額補助される。これでは年金の保険料を払う気持ちが起こらないという。
しかし生活保護を受けるには、生活費に足る収入がないこと、預貯金や不動産など資産がないこと、さらに親子や兄弟姉妹など扶養義務者からの援助が期待できないこと、が条件になる。救貧を目的とした制度における補足性の原理である。他方、防貧を目的とする基礎年金は資産や収入の額にかかわらず支給され、旅行、娯楽にも使える。生活保護があるから保険料を払う必要はないというのは、2 つの制度の役割を混同した誤解であろう。
昨今無年金・低年金の高齢者が増加し、その対策として、最低保障年金の導入や生活保護受給要件の緩和が議論されている。これらの対策を検討する際にも、高齢者の生活においてこの2つの制度との関係をどう整理するのかを考慮し、整合的な将来像を描いていく必要があろう。

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