- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 製造工業生産予測指数の落込みが示すもの
コラム
2008年11月28日
1.急減速した鉱工業生産
10月の鉱工業生産指数は102.3となり、前月比でマイナス3.1%低下と、市場の予想を上回る落込みとなった。しかし、もっと驚くべきことは、同時に発表された製造工業生産予測指数で、11月、12月はもっと大きな下落が予測されていることだ。11月の見込みは前月比マイナス6.4%、12月の予測はマイナス2.9%となっている。
製造工業生産予測調査は鉱工業の一部をカバーしているに過ぎないので、今後の鉱工業生産が予測指数の動きどおりになるわけではないが、先行きを予想する上では重要な手がかりである。仮に11月と12月の鉱工業生産指数が製造工業生産予測指数と同じ落込みを示すとすれば、10-12月期の鉱工業生産指数は97.0となり、前期比でマイナス8.6%という大幅な落ち込みとなることになる。
製造工業生産予測調査は鉱工業の一部をカバーしているに過ぎないので、今後の鉱工業生産が予測指数の動きどおりになるわけではないが、先行きを予想する上では重要な手がかりである。仮に11月と12月の鉱工業生産指数が製造工業生産予測指数と同じ落込みを示すとすれば、10-12月期の鉱工業生産指数は97.0となり、前期比でマイナス8.6%という大幅な落ち込みとなることになる。
2.対応の速さを示すものか?
3.それとも世界経済の落込みを意味するのか?
今回の景気後退局面は2007年末頃に始まったという見方が多いが、そうだとすれば景気が後退しはじめてから1年近くが経とうとしている。この間の鉱工業生産指数の低下は過去の景気後退局面に比べて小さく、今回の景気後退はこれまで生産の減少速度が緩やかだということが特徴だった。2007年8月にサブプライム問題が火を噴き米国経済の落込みが懸念されたが、2008年に入ってからは4-6月期まで米国経済はプラス成長が続いた。米国がマイナス成長となったのは7-9月期に入ってからであり、ここまでは新興国経済の高い成長が続いてきたことも日本の輸出を支えてきた。
28日の株式市場では、10月の鉱工業生産指数などの経済指標は想定の範囲内だとして、特段相場の材料になっていなようだ。しかし製造工業生産予測指数が示している10-12月期の鉱工業生産が大幅なマイナスとなるという可能性は、世界経済の同時的な悪化を意味するのかも知れない。
28日の株式市場では、10月の鉱工業生産指数などの経済指標は想定の範囲内だとして、特段相場の材料になっていなようだ。しかし製造工業生産予測指数が示している10-12月期の鉱工業生産が大幅なマイナスとなるという可能性は、世界経済の同時的な悪化を意味するのかも知れない。
櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)
研究・専門分野
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年03月29日
人的資本経営の実践に資するオフィス戦略の在り方-メインオフィスは人的資本経営実践のためのプラットフォームに -
2024年03月29日
晩年に関する不安~老後とその先の不安には「近居」が“程よい距離感” -
2024年03月29日
急速に導入が進むインドの再生可能エネルギー~2030年の国際公約達成を狙える位置に -
2024年03月29日
身体活動基準2023~座位行動時間、筋トレに関する指針が追加 -
2024年03月29日
鉱工業生産24年2月-不正問題の影響で自動車生産が一段と落ち込む
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
-
2023年04月27日
News Release
【製造工業生産予測指数の落込みが示すもの】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
製造工業生産予測指数の落込みが示すもののレポート Topへ