2008年11月21日

11月決定会合・白川総裁会見:追加利下げには慎重だが、景気認識はさらに厳しく

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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■見出し

・企業の資金繰り支援を発表、追加利下げには慎重だが、景気認識はさらに厳しく
・会見: 追加利下げはさまざまな問題が生じる、金融政策は調整自体を帳消しにはできない

■introduction

11月決定会合(20,21日)は事前の予想通り、全員一致で現状維持(無担保コールレート0.3%)が決定された。
ただし、厳しさを増す企業金融に対して「当面、CP現先オペを一層活用していく」ことを決定し、さらに議長が執行部に対し、民間企業債務の適格担保としての取り扱いや民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫について速やかに検討するよう指示した。
白川総裁は会見で、国内景気の先行きについて「やや長い目で見れば、物価安定の下での持続的な成長経路に復していく可能性が相対的に高い」と述べた。ただ、「こうした見通しに関する不確実性は非常に高く、世界経済の減速や国際金融資本市場の動揺を踏まえると、回復への条件が整うには相応の時間を要する」と先月よりも厳しい見方を示した。
しかし、追加利下げについて「さまざまな問題が生じる可能性がある。特に、現在のように金融市場の機能低下が問題となっている状況では、この点に関する配慮は一段と重要となっている」と慎重である。
白川総裁は追加利下げに慎重な姿勢を示したが、追加緩和策の可能性は高い。
12月上旬から中旬にかけて欧米では追加利下げが確実視されている。また米国ではクリスマス商戦などの不調、年末に向けた米金融、企業再編などへの懸念が高まりやすく、円高要因山積の状況だ。また12月15日には日銀短観が発表され、景況感の悪化や収益・設備・雇用などの計画が大きく下方修正される可能性が高く、国内景気面からも追加利下げの観測は高まりそうだ。筆者は09年1-3月で追加緩和策が実施されると見ている。

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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