2008年10月14日

ワシントンG7(10/10):公的資金での資本増強をコミット

経済研究部 チーフエコノミスト   矢嶋 康次

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■introduction

ワシントンで開催の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は10日会議終了後に共同声明を発表し「現下の状況は緊急かつ例外的な行動を必要」との見解で一致、その上で公的資金導入など5項目を盛り込んだ「行動計画」を公表した。
注目の「公的資金注入」については、金融危機の本丸である米国ブッシュ大統領がG7会議開催前に声明を発表し、「財務省は金融機関の株式購入も含め、銀行の資本増強を支援する様々な手段を有している」と述べ公的資金導入を正式に表明。続くG7声明でも「銀行やその他の主要な金融仲介機関が、必要に応じ、公的資金、そして民間資金の双方により資本を増強することができるよう確保する」が盛り込まれ、G7が市場に対して「公的資金導入」を約束するという強いコミットを示した。
ポールソン米財務長官はG7の閉幕を受けて声明を発表、「金融市場の安定に向け、金融機関からの住宅ローン債権の買い取り・保証、株式買い取りの計画を進めている」と述べ、資本注入の準備を進めていることを明確にした。
今回G7は8日の中央銀行による協調利下げに続き、「協調」を強く打ち出せたとの印象を受ける。もしかすると「各国まとまらないのでは」「公的資金導入がコミットされないのでは」と最悲観の見方に、公的資金導入を協調で「明確にコミット」できたことは、市場の不安の底割れは回避できたという大きな効果はあったはずだ。
ただし、ないものねだりになるが、(市場ではある程度上記コミットメントは織り込んでいた)、時期や具体策について、もう一歩踏み込めなかったとの印象も同時に受ける。その点では市場に「安心」を十分に与えきれなかったという冷めた見方も可能だ。
この先予想されるのは、実行される対応に市場は「十分ではない、効果が限定的」と効果そのものを疑う悪循環。金融環境や経済の悪化が続く限り、損失が拡大し、その時点で「十分」との評価はできない。日本で嫌というほど経験してきた悪循環だ。
今回の行動計画で、預金保護、銀行の流動性確保、資本確保などが盛り込まれるなど、各国とも危機回避に向けてだいぶ「道具」はそろってきた。これからは今まで以上に実際に道具を使いこなす「スピード」が要求される。米国を含め各国が準備段階からいつ、実行というプロセスに移っていくか。米国ではやはり不良債権の買取・資本注入がすぐ始動してくるかどうか、欧州では金融機関の時価会計への不安があり、よく実情が見えない、欧州全体で包括的に金融問題をクリアーできるのかという不安を早くクリアーできるのか、また新興国に広がりつつある危機の流れに効果的な対応がすばやく打てるのどうか、などがポイントとなってくるだろう。

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矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融、日本経済

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