2008年10月03日

金融政策・市場の動き(10月)~金融危機、流動性対策では限界

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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  1. リーマン破綻以降、各国中央銀行は資金供給を大規模に行っているが、ドル枯渇の状況はひどく短期金利の高止まりが続いている。今後流動性対策が強化されても、金融危機を回避することはできない。危機を乗り切るためには、最終的には住宅価格の下落が止まることが必要だが、その前段階として、今回の不良資産買取のスキームなどを利用し膿を金融部門から取り除き、そのことで発生する損失を補填する資本増強が最低限必要だ。日本と似たような歴史を歩まざるをえない。
  2. 10月10日からワシントンでG7が開催される。米大統領選挙が11月にあるなど政治情勢を踏まえれば即効性のある具体策提示までは難しい。ただし、各国の協調姿勢はかなり「強め」に言及されるだろう。
  3. (長期金利)サブプライム問題が欧州に飛び火し、国際金融市場の混乱は長期化するとの見方が強まっており長期金利の低位安定は長期化。
  4. (為替)米国の金融危機は長期化、さらに景気後退懸念、利下げ観測も強まっておりドル安圧力が強い。ただし、ドル資金枯渇に伴うドル需要も存在していることから、当面緩やかな円高にとどまると予想する。
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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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