- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- >
- 運用リスク管理 >
- CDS価格情報を用いた信用力指標の算出可能性について
CDS価格情報を用いた信用力指標の算出可能性について
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任 高岡 和佳子
大山 篤之
1
企業のデフォルト事由を取引対象とするCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の取引量は拡大しつつあり、またその認知度も高まりつつある。取引対象が企業のデフォルト事由であることから、CDSの取引価格には個別企業の信用力に関する情報が含まれると考えられる。そこで、CDSの市場価格を基に個別企業の信用力指標の算出を試みた。
2
まず、CDS価格の理論式を導出し、CDS価格の主たる決定要因が企業の信用力であることを確認した。その上で、市場参加者の心理的バイアスや、需給や流動性の問題といった企業の信用力とは関係のない要因もCDS価格に影響を与えるため、それらの要因を排除・軽減するような方策を検討し、信用力指標算出手法を構築した。
3
実際のCDS価格データを用い、信用力指標を算出し、その振る舞いを確認した結果、個別企業の信用力を表す指標である格付け機関が付与する信用格付けと高い関連性が確認される一方で、当該指標特有の動きをすることも判明した。また、信用力の変化から算出指標の変化に至るまでに、それなりの時間を要することも判明した。
4
とはいえ、CDS価格情報を用いた信用力指標の算出は、従来の格付け機関が付与する信用格付けを補完する有益な情報を提供するものと考えられる。信用力変化時のCDS価格推移の特徴を上手く捉えることなどによって、より即時性の高い信用力指標への改善の他、市場参加者の感覚により合致した指標への改良などが今後の課題である。
大山 篤之
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号 -
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか?
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【CDS価格情報を用いた信用力指標の算出可能性について】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
CDS価格情報を用いた信用力指標の算出可能性についてのレポート Topへ