2008年09月24日

中国経済の変調~環境変化への対応力高いが楽観はできない

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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■要旨

1. 08年入り後の中国の成長率は1~3月期の前年同期比10.6%から4~6月期は同10.1%に減速しており、07年4~6月期をピークとする成長の鈍化傾向が明確になった。成長鈍化の主因は、06~07年の成長加速を支えてきた純輸出の寄与の低下にある。
2.成長鈍化、貿易黒字の減少、インフレの長期化は、過去5年に亘り続いた中国の高成長・低インフレの基調が変化していることを示すものだが、これまでのところ、外部環境の急変振りに比べると、中国経済の変調の度合いは小さい。エネルギー・食糧の輸入依存度が抑えられている一方で、製品輸出分野でなお高い競争力を有していることが、環境変化への対応力の高さを支えている。一方で、近年の高成長の結果、財政事情が好転しており、景気悪化に対する財政面からの対応力が高いという安心材料もある。
3.それでも外部環境はなお厳しく、中国の先行きも楽観はできない。今後、輸出の減速基調はさらに強まる見通しで、堅調が期待されてきた内需にも、資産価格の調整による下押し圧力が加わるおそれが出ている。
4.今年上半期は金融引き締めが強化されたが、7月以降、中国の政策当局は金融引き締めのトーンを徐々に弱めるようになっている。今後は、ソフトランディングを実現すべく、内外の経済・金融動向や資産価格の動向を睨みながら、金融引き締めの度合い、人民元調整のテンポ、財政によるサポートの組み合わせ方を変えて行くことになるだろう。

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経済研究部   上席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

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