2008年09月19日

欧州経済見通し~ユーロ圏は停滞、イギリスもマイナス成長に

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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< ユーロ圏 : 2008年1.4%、2009年1.3% >
  1. 4~6月期は、(1)1~3月期の建設投資大幅増の反動、(2)ユーロ高と新興国需要鈍化による輸出減、(3)物価高による個人消費不振でユーロ導入以来のマイナス成長となった。
  2. 当面は、輸出の不振、投資の手控え、物価高による個人消費抑制で停滞色の強い推移が続き、09年半ば以降、原油高、ユーロ高修正効果で景気は徐々に持ち直すことになろう。
  3. ECBは、年内は政策金利の据え置きを継続、利下げへの転換は雇用のタイト感が緩和、原油価格が物価押し下げ要因に転じる09年1~3月期となろう
< イギリス : 2008年1.1%、2009年0.5% >
  1. 4~6月期は、金融混乱と金融機関のリスク許容度の低下を背景とする住宅市場調整の影響が広がり、ゼロ成長まで減速、7~9月期はマイナス成長が見込まれる。
  2. CPIは8月には4.7%まで高進しているが、BOEは10~12月期には景気失速で2年後にCPIが目標を下回るリスクが高まったとして利下げを再開するだろう。  
  3. 景気対策と利下げ効果、世界景気の持ち直しで、09年半ば以降は景気の緩やかな回復が見込まれるが、09年の成長率は0.5%と92年の0.2%以来の低水準となろう。
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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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