2008年09月05日

法人企業統計08年4-6月期~4-6月期の設備投資(GDP統計)は大幅下方修正へ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・2四半期連続の減収減益
・設備投資の減少幅拡大
・4-6月期の成長率は大幅下方修正の見込み

■introduction

財務省が9月5日に公表した法人企業統計によると、08年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比▲5.2%(1-3月期:同▲17.5%)となり、4四半期連続の減少となった。売上高経常利益率が原材料高を主因として4四半期連続で前年よりも悪化したことに加え、売上高が前年比▲0.7%(1-3月期:同▲1.5%)と2四半期連続で減少した。減収減益は1-3月期に続き2四半期連続である。
売上高経常利益率は全産業ベースで4.3%となり、前年同期よりも▲0.2ポイント悪化した。非製造業は前年から横ばいだったが、製造業が▲0.8ポイントと大幅に悪化した。
製造業、非製造業ともに、引き続き原材料高に伴う変動費率の上昇が利益率を悪化させているが、非製造業は減価償却費の大幅減少(前年比▲12.5%)が利益率の悪化を緩和する形となった。
経常利益を業種別に見ると、非製造業は前年比0.2%(1-3月期:同▲18.6%)と3四半期ぶりに増加したが、製造業が前年比▲11.7%(1-3月期:同▲15.7%)と前期に続き二桁減益となった。
製造業は、原材料高によるコスト増に加え、輸出減速に伴う売上高の伸び悩みが収益の圧迫要因となっている。貿易統計の輸出金額は、07年10-12月期の前年比10.0%から08年1-3月期が同6.0%、4-6月期が同1.8%と伸び率が急速に低下しているが、法人企業統計における製造業の売上高も07年10-12月期の前年比6.5%から08年1-3月期が同5.9%、4-6月期が同1.4%と減速傾向が鮮明となっている。
製造業の内訳を見ると、輸出低迷を反映し、輸送用機械(前年比▲9.0%)、一般機械(同▲19.6%)、鉄鋼(同▲11.6%)が大幅な減少となるなど、主要業種全てが減益となった。
非製造業では原燃料費高騰によるコスト増が続く電気が3期連続で赤字(▲1572億円)、マンション販売低迷の影響などから、建設業(前年比▲92.4%)が大幅減益となったほか、個人消費低迷を反映し、卸売・小売業(同▲7.9%)が減益となった。一方、サービス業は前年比63.8%の大幅増益となった。
原油をはじめとした国際商品市況の上昇がここにきて一服していることで、コスト増による収益の下押し圧力は7-9月期以降、徐々に縮小に向かう可能性が高い。一方、海外経済の減速に伴う輸出の停滞、個人消費を中心とした内需の低迷から、製造業、非製造業ともに売上高の伸び悩みは今後も継続することが見込まれる。このため、企業収益の回復は2009年入り後となる可能性が高いだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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