2008年07月25日

サービス消費に見る家計の節約志向

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

文字サイズ

  1. ガソリン、食料品を中心とした物価上昇率の加速に伴い家計の実質購買力は急速に低下し、消費者マインドも大幅な悪化が続いている。こうした中、個人消費は停滞色を強めており、特に外食、旅行などのサービス消費の落ち込みが顕著となっている。
  2. サービス消費は選択的支出の割合が高いため、所得、物価など環境の変化に応じて購入量を比較的柔軟に調整しやすい性質がある。足もとのサービス消費の低迷は、家計の節約志向の強まりを反映したものと考えられる。
  3. 家計調査の外食費はこのところ減少しているが、中身を見ると外食の回数が減っていることに加え、外食の物価上昇率が高まる中でも外食の平均単価はほぼ横ばいにとどまっていることが分かる。
  4. また、タクシー料金は昨年値上げされたが、タクシー代の平均単価はほとんど上がっておらず、その一方でバス代の平均単価は上がっている。これまでタクシーを利用していた人の一部が節約のためにバスを利用するようになっている可能性がある。
  5. 物価上昇率のさらなる加速が見込まれることに加え、今年の夏のボーナスは昨年よりも減少することが確実であるため、家計の所得環境はさらに厳しさを増すことが予想される。4-6月期の個人消費(GDPベース)は7四半期ぶりに前期比で減少となる可能性が高いが、夏場以降さらに落ち込む恐れもあるだろう。
37812_ext_15_1.jpg
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【サービス消費に見る家計の節約志向】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

サービス消費に見る家計の節約志向のレポート Topへ