2008年07月08日

6月マネー関連:貸出は運転資金、地公体の借り換え需要により増加

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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■見出し

・貸出動向:運転資金需要、地方公共団体の借り換え需要により増加
・マネー:景気の減速から広義流動性の伸びは鈍化が続く

■introduction

 日本銀行が7月8日に公表した貸出・資金吸収動向等によると、6月の総貸出(平残、銀行・信金計)は前年比1.8%(29カ月連続のプラス)と6ヶ月連続で前年比伸び率が高まっている(図表1、2)。
マクロ低迷の状況とは逆に伸び率が高まっているが、(1)原油高などによる運転資金需要、(2)地方公共団体による借り換え需要などの特殊要因によるもので、内容的にはいいものとはいいがたい。
地方公共団体の借り換えは、厳しい財政事情等を踏まえ、2007年度から09年度までの臨時特例措置として、行政改革を条件に、地方公共団体に対する財政融資資金の貸付金の一部について、補償金を免除した繰上償還を実施するというもの。
地方公共団体向けは、貸出残の4%程度でその伸び率が5%程度から足元15%程度まで伸びており、貸出全体への寄与度は約4%×10%=0.4%程度ある(図表4)。  
今後については、原材料高による運転資金需要や地方公共団体の借り換えはしばらく貸出増加に寄与しそうだが、(1)マクロの低迷、(2)貸出厳格化の動き(図表5)、(3)住宅市場低迷から個人ローンが頭打ち、などから貸出も鈍化する可能性が高いと見ている。

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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