2008年06月27日

消費者物価(全国08年5月):コアCPI上昇率は今後2%を超える可能性も

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・暫定税率復活でコアCPIの上昇率急拡大
・コアCPI上昇率は2%を超える可能性も

■introduction

総務省が6月27日に公表した消費者物価指数によると、5月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.5%となり、上昇率は前月から0.6ポイントの急拡大となった。事前の市場予想(ロイター集計:1.4%、当社予想は1.5%)を上回る結果だった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲0.1%(4月:同▲0.1%)と2ヵ月連続の低下、総合指数は前年比1.3%(4月:同0.8%)であった。
コアCPIの内訳を見ると、4月に一時的に失効した暫定税率が復活したことに伴い、ガソリン価格の前年比上昇率が4月の0.7%から18.0%へと急拡大し、コアCPIへの寄与度は4月の0.02%から0.46%へと高まった。
また、値上げの動きが続く食料品(生鮮食品を除く)は4月の前年比2.5%から同3.0%へと高まった。特に、めん類(前年比12.4%)、小麦粉(同11.0%)、バター(同10.6%)、チーズ(同27.7%)など、原材料高の影響を直接受ける製品で二桁の高い伸びとなっていることに加え、調理食品(4月:前年比2.8%→5月:同3.5%)、外食(4月:前年比1.4%→同1.7%)などでも上昇率は高まっている。
消費者物価指数の調査対象585品目(生鮮食品を除くと524品目)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(中間年見直しで追加された3品目はカウントせず)、5月の上昇品目数は292(生鮮食品を除くベース)となり、8ヵ月連続で半数を上回った。下落品目数は179で、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は21.7%と4月の20.5%から上昇した。食料品(生鮮食品を除く)については7割を超える品目で上昇している。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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