2008年06月06日

6月BOE金融政策委員会は据え置き~インフレ警戒強化、ポンド安は容認

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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■見出し

・6月MPCは政策金利を5%で据え置き
・「インフレ報告」は成長見通しを下方、物価見通しを上方に修正

■introduction

・景気の減速傾向は強まる一方、インフレ率は上振れ
6月4日、5日に開催されたイングランド銀行(以下、BOE)の金融政策委員会(MPC)は、先月に続き政策金利の5%での据え置きを決めた。
前回理事会後の経済統計では、先月23日のGDP統計で1~3月期の成長率が前期比0.4%と長期平均を下回ったのは投資の落ち込みと在庫の減少が主因であり(図表1)、調整色が深まる住宅市場でも価格の下落が続き(図表2)、利下げが明確な効果を及ぼしていないことなどが確認されている。
その一方、4月の消費者物価上昇率(以下、CPI)はインフレ目標プラス1%となる3%まで加速(図表3)、14日に公表された5月の「インフレ報告」で目標を大きく上回るCPIの推移は09年初まで続くとの見通しが示された(後述)ことから、今月の据え置きは大方の予想どおりであった。
6月MPCの議事録は18日の公表が予定されている。追加利下げ票を投じたのは、5月と同様に、「景気後退のスパイラル回避」のための前倒しの利下げの必要性を主張しているブランチフラワー委員のみであった可能性が高い。
国際商品の価格高騰が長期化の様相を呈する中、BOEは、当面、政策金利の据え置きを継続、この間の利下げと4月に導入した流動性対策(注)の効果を見極める段階に入ると思われる。インターバンク市場におけるリスク・プレミアムの指標となる同一期間のインターバンク金利と国債とのスプレッドは、流動性対策公表後に幾分低下したものの、なお開いた状態が続いている(図表4)。

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伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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