2008年04月11日

4月BOE金融政策委員会~金融混乱の広がりに3度目の利下げで対応

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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■見出し

・政策金利は5%に引き下げ
・当面の焦点は住宅市場の調整の深さと広がり

■introduction

4月9日、10日にイングランド銀行(以下、BOE)の金融政策委員会(MPC)が開催、政策金利の25bpの引き下げを決めた。昨年12月、今年2月に続く3度目の利下げで、政策金利は5.00%となった(図表1)。
据え置きを決めた先月(3月)のMPCでは、利下げ票はハト派のブランチフラワー委員とギーブ副総裁の2票にとどまったが、3月27日の議会証言でキング総裁が利下げ指向の強まりを認めていたことや、後述のとおり金融混乱の住宅市場への影響の強まりを示す材料が増えたことなどから、4月追加利下げ観測は広がっていた。
今回の声明文では、「短期的なインフレ率の上振れが予想される中で、MPCは中期的に2%のインフレ目標を達成するために、2つのリスクのバランス、すなわち余剰生産能力がタイトな中で、インフレ期待の上昇により物価が上振れるリスクと、金融混乱が景気の減速につながり、物価が下振れるリスクのバランスをとる必要がある」とした上で、今回は「利下げが正当化」されたとしている。「信用はタイト化しており、アベイラビリティーは一段と低下するおそれがある」との見解から、今回の利下げには、金融混乱の実体経済への波及を食い止める目的があることが窺われる。

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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