2008年03月14日

欧州経済見通し~ 景気減速下で強まるインフレ圧力 ~

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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< ユーロ圏: 2008年1.7%、2009年1.9% >
  • ユーロ圏経済は、世界景気の減速による輸出と設備投資の鈍化、個人消費の伸び悩みで2008年は1.7%成長に減速、2009年の回復も緩慢で、成長率は1.9%となろう。
  • 原油高によるインフレ圧力は10~12月期の緩和が期待されるが、通年のCPI上昇率は2.7%とユーロ導入以来の高水準となり、2009年も2%台の推移が続こう。
  • ECBの利下げ転換の時期は、国際商品の騰勢緩和と景気減速による内生的インフレ圧力の沈静化を確認できる7~9月期以降となろう。リスク・シナリオとしては、景気減速とインフレの同時進行で身動きのとれない状態の長期化が想定される
< イギリス: 2008年1.9%、2009年2.2% >
  • イギリス経済は、過去の利上げと金融不安、欧米の景気減速の影響で減速している。2008年の成長率は長期平均を下回る1.9%に低下、2009年の回復も緩やかに留まろう。
  • BOEは、インフレへの警戒感から連続利下げ、大幅利下げには慎重な立場を採っている。追加利下げは5月と7~9月期の年内2回となろう。
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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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