2008年02月22日

明確になったユーロ圏経済の減速~3月利下げ転換の可能性を探る~

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  • 欧州中央銀行(ECB)は、2月に物価の安定を最重視する基本スタンスを維持しながら、状況の変化に機動的に対応できるよう政策転換の余地を確保した。
  • 景気の減速はハード・データでも裏付けられるようになっている。ECBは3月理事会当日公表の経済見通しを下方修正する見込みだが、物価見通しは小幅修正に留まろう。
  • 2001年5月も、原油と食品高でインフレ率は目標から乖離していたが、ITバブル崩壊に伴う輸出、生産の減速で米英に追随する形での利下げ転換を余儀なくされた。
  • 当時に比べると、利下げがユーロ安を招くリスクは大きな問題とはならないが、生産の急低下が確認された2001年と異なり、新興国の需要は旺盛で、国際商品市況への圧力は根強い。ユーロ圏の稼働率、雇用、金融指標も強さを保っているため、インフレ警戒が解きにくい。月末~月初公表の重要指標が大幅に悪化すれば利下げという展開も予想されるが、景気下振れリスクとインフレ圧力両睨みを継続する可能性の方が高い。
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伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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