2007年12月14日

短観速報~業況は悪化するも、設備投資の増勢は維持

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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  1. 企業の業況判断DIは、全規模・全産業ベースで製造業は横ばい、非製造業は前回調査から2ポイント悪化した。注目度が高い大企業・製造業の業況判断DIはプラス19(前回調査から4ポイント悪化)と3期ぶりに悪化した。大企業非製造業の業況判断DIは16(前回調査から4ポイント悪化)と2期連続悪化した。
  2. 設備投資計画(含む土地投資額)は、2007年度は全規模・全産業で前年度比6.8%と前回調査から1.9%の上方修正となり、対前年比増加は維持されている。
  3. 売上高計画は、全規模・全産業で前年度比3.4%、経常利益計画は、前年度比1.1%と増収増益見込みとなっている。
  4. 需給ギャップの代理変数とされる「短観加重平均D.I.」(設備・雇用DI を加重平均して算出)は、2005年9月調査以降、需要超過が続いている。今回調査では需要超過幅が9月調査から拡大している。
  5. 今回の短観・業況判断は、足もとは悪化し、先行き不安も色濃く示したが、企業計画ではアジア向けの輸出好調を背景に増収増益・設備増勢など前向きな計画は続いていることが確認できた。
  6. ただし、(1)サブプライム問題の影響拡大で金融市場の混乱が続く、さらに米国経済鈍化、円高、他の地域への波及が懸念される、(2)原油など資源高による交易条件悪化、(3)消費低迷・消費者心理悪化、(4)建築基準法改正の影響が続くなど悪材料が山積している状況に変化はなく、日本経済は引き続き下ぶれリスクが高い。
  7. 次回日銀の利上げは、(1)米国経済の腰折れ懸念が後退し、米FRBの利下げ局面が終了、(2)国内では建築基準法改正に伴う混乱収束から日本の成長率が上向き始める、などの条件が整う7-9月期以降まで待つことになるだろう。
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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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