2007年12月03日

サブプライムショックとリスク管理

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サブプライムローンの焦げ付きに端を発した世界的な金融市場の動揺が続いている。一説には、不良債権化懸念のあるローンはまだ100兆円あるという。米国住宅市場の低迷が家計消費を抑え、世界経済は少なくとも来春まで成長が鈍化するだろう。加えて、投資家のリスク許容度が低下する中、ローンの証券化商品にとどまらず、株式や低格付け債券、ヘッジファンド、不動産などリスクの高い他の資産の価格も低迷しつつある。
本来、長期投資家である年金基金は、こうしたリスクプレミアムの増加を絶好の投資機会とみることができよう。とはいえ、年金基金も母体企業も、4ヶ月後の来年3月には決算の数字を発表しなくてはならない。その時まで資産価格の低迷が続いていると、リスク管理の妥当性について説明を迫られる可能性がある。
その観点からの今回の教訓の1つは、過去のパフォーマンスがあくまでも参考数値に過ぎないことである。例えば、8月の世界同時株安は統計的には考えにくい、異常な現象だったという。また、流動性が逼迫し、リスク許容度が低下すると、それまで相関の低かったはずの資産価格が同時に下落する。長期投資家といえども、1年ごとに決算がある限りはこうしたリスクに注意を払い、そのリスクを母体企業に予め良く説明しておく必要があろう。

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【サブプライムショックとリスク管理】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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