2007年09月10日

拡大する不動産ソリューションビジネス -企業不動産(CRE)から個人住宅、公共部門へ-

  松村 徹

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■見出し

1. ビジネス成長の背景
2. 対象領域の拡大と今後の見通し

■introduction

不動産ソリューションとは、法人や個人などが抱える不動産を巡る課題を、さまざまな専門知識や技術を使って分析し、最適な解決策(ソリューション)を提案・実行するビジネスである。
1991年のバブル崩壊まで、土地は所有するだけで値上がりする最も有利な資産と考えられ、極論すれば節税対策以外の知恵は必要とされなかった。このため、有利な資産形成や成長の梃子として、あらゆる企業や個人が、投資家や不動産会社を凌駕する勢いで土地取得を進めた(図表-1)。
2005年末の日本の不動産資産総額1580兆円のうち、法人が460兆円、個人が950兆円、政府その他が170兆円所有すると試算できる。不動産証券化の市場規模が20兆円にすぎないことから、市場に流出したものがごく一部で、企業や個人がいかに多くの土地建物を市場と無縁な状態で所有しているかがわかる(図表-2)。
現在、企業が不要不急の土地を取得する意義は失われたが、土地を持たない経営が常に正しいわけでもない。要するに、企業価値の観点から、不動産所有の是非が問われるようになってきたことが、不動産ソリューション市場が成長した最大の理由である。
企業の土地所有意識の変化を、国土交通省のアンケートでみると、2000年に借地・賃貸派と所有派が逆転したが、それ以降も借地・賃貸派が絶対多数になっていない(図表-3)。これは所有か賃貸かの二者択一ではなく、個別に対応を考えようという意識の現れとみられ、社団法人不動産証券化協会のアンケートによっても裏付けられる(図表-4)。企業は、さまざまな要素を勘案し、是々非々で判断しなければならないからこそ、外部の不動産や金融の専門家の知恵や助言が必要になっているのである。
特に上場企業では、不動産所有の企業価値への寄与や資産効率などについて、株式市場から説明責任を厳しく問われるようになっている。
本業に直接寄与しない不動産を漫然と保有し、適正な収益を上げていないようでは株主が納得しない。あるいは、優良な不動産を所有しているにもかかわらず、資産価値に比べて株価が低い企業1は買収の対象になる。最近は大都市の地価が上昇して、再び土地の含み益が増加しているだけになおさらである。

松村 徹

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