コラム
2007年09月10日

中高年サラリーマンのダイエット-もうひとつの生活習慣病

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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最近、メタボリックシンドロームという言葉をよく耳にする。不健康な生活習慣を続けていると、内臓脂肪が蓄積し、動脈硬化や脳卒中、心疾患を引き起こす可能性が高まる。厚生労働省の資料によると、50歳代の男性では、ほぼふたりにひとりはメタボリックシンドローム該当者かその予備軍だという。最近ではスポーツジムに行くと、そこはダイエットに勤しむ中高年男性で溢れかえっており、中高年の人々が自らの健康管理に強い関心を抱いていることがよくわかる。

さて、中高年サラリーマンにとってもうひとつ重要なダイエットがある。それは長い間、身につけてきた企業名や肩書きをはずしてみることだ。名刺には企業名、所属部署、役職などが書かれている。企業社会ではそれらが大きな力を持っている場合も多く、自分の能力だと思っていたことが、実は組織や役職の力だったということもある。サラリーマンが定年退職すると、名刺のない生活になかなかなじめない人も多いが、会社から地域へ戻ったときには、従来の名刺は余り役に立たない。重要なのはそれまでに培った自分自身の「個」としての能力や人間関係、そして人柄だ。

定年退職後にNPOで働きたいと思っている中高年サラリーマンも多いだろう。ある調査によると、NPOが求めている人材は「協調性があり、実行力があり、コミュニケーション能力がある人」であり、逆に望まない人物像は「仲間を部下扱いする、人を肩書きで判断する、男女平等意識に欠ける、従来の価値観に縛られている人」との結果がある。大企業の元管理職が、地域活動やNPO活動で「私は部長ができます」と言っても残念ながら通用しないのである。

大企業には部下に指示をするばかりで、自分では何もしようとしない管理職もいる。ほとんど体を動かさずに内臓脂肪を溜め込んでいるとメタボリックシンドロームになるように、それは企業における一種の生活習慣病かもしれない。これからの時代には、管理職として組織のパフォーマンスを追求するだけでなく、ときどき自分の「個」としての能力を見つめ直すことが必要だ。そうすることによりわれわれ中高年サラリーマンは、“もうひとつの生活習慣病”を改善することができ、そこに新たなライフデザインの展望が拓けてくるのではないだろうか。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

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