2007年09月03日

企業年金研究会報告が示唆するもの

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さる7月、厚生労働省から「企業年金制度の施行状況の検証結果」が発表された。企業年金2法の施行後5年経過時点でのさまざまな課題を、精力的に取り上げた報告書として高く評価したい。
特に、企業型確定拠出年金において個人の追加拠出を認めること、個人型確定拠出年金において企業型並みの拠出枠を認めることが提唱されたことに注目したい。
今年末からの税制改革の中でこれらの提言が認められるかどうか。税務当局は、企業掛金は給与と同じ位置づけから損金算入を認めるものの、個人掛金の所得控除は例外的な場合のみ認める方針と聞く。2001年の発足時にも個人型の拠出枠がやっと認められた記憶がある上、人的控除全体が整理の方向にある。
しかし、ここで必要なのは、資金の出し手が個人であっても、公的年金を補完する老後の所得保障手段の原資を非課税とする考え方である。これを発展させていけば、全被用者に企業型・個人型年金に共通した拠出枠を設けることになる。公的年金への信頼が揺らぎつつある中、厚生労働省、財務省さらには政治家に思い切った発想の転換を求めたい。

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