2007年08月08日

米8月FOMCは金利据え置き、インフレ懸念重視を持続

土肥原 晋

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■見出し

・9回連続で金利据え置き~将来的な緩和のサインは見られず
・FOMC声明文のポイント
・景気下ぶれリスク増を指摘する一方、インフレ警戒重視を維持

■introduction

8/7開催のFOMC(米連銀:連邦公開市場委員会)では、現在5.25%のFF目標金利の据え置きを全会一致で決定した。同金利は昨年6月に最後の引き上げが実施され、同8月のFOMCで据え置きが決定されたが、その後、ほぼ1年余に渡って同水準が続き、今回で9回連続の据え置き決定となる。
事前の市場予想でも、金利据え置きの見方が大勢であったため、最近の物価指標が落ち着きを見せる中、消費や住宅投資を中心とした景気鈍化や、サブプライム住宅ローン問題等による金融市場の混乱に関連して、FOMCがどのように言及するかに注目が集まっていた。
FOMC開催後に発表された声明文では、金融・信用市場の動向には言及し、景気のダウンサイドリスクの増加を指摘しながらも、インフレが最大の懸念とする見方を維持しており、年内の金利据え置きの見方を強めた形である。大方の予想通りの結果ではあるが、金融業界混乱の支援に向けての何らかのサインを期待していた向きには、“中央銀行の最大の関心は依然としてインフレ懸念”との回答を出したこととなり、バーナンキ議長のリスクマネジメントに対して不満の声がないわけではない。
なお、FOMCの資料とされる7/25発表のベージュブック(地区連銀経済報告)では、景気の緩やかな回復の一方、信用市場での借入れがタイトになっていることや、原油価格等の原材料の高騰による投入コストが上昇する中、小売物価は緩やかな上昇ペースに留まっているとしていた。今回のFOMCでもほぼベージュブックの見方を踏襲したものと言えよう。

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土肥原 晋

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