2007年07月20日

中国経済動向~続く高成長と政策のジレンマ~

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  • 中国の成長率は、4~6月期に過去12年で最も高い前年同期比11.9%に加速、消費者物価上昇率は同3.2%と中国人民銀行が設定した年間目標の3%を上回った。
  • 政策面では、行政措置と金融・為替政策の組み合わせで、高めの成長と物価の安定を確保しつつ、構造転換を図っているが、投資と消費の伸び率格差は大きく、都市と農村の所得格差、貿易不均衡は拡大、過剰流動性は高止まるなど、十分な効果は見られない。
  • 今後、追加利上げや人民元の調整加速が見込まれるが、着実で穏やかな引締めと人民元の基本的な安定維持という枠を大きく超えることはないだろう。即効性と実効性が高い政策発動が見込み難いことに加え、投資需要の高さ、貿易構造面での要因を踏まえると、当面、中国経済の急減速や、内外の不均衡の急速な改善は見込み難い。
  • CPIは、足もとで強い上昇圧力となっている食品の需給改善で、年末頃には沈静化が見込まれる。今後注目されるのは、上昇に転じつつある消費財価格の動きだ。財価格の上昇、人民元高調整の進展という流れは、安価な財を大量に供給し、世界的な財価格の安定に寄与する役割が、次第に低下することを意味する。
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伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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