コラム
2007年05月02日

せっかく一緒になるのだから・・・

保険研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任   中嶋 邦夫

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先日、厚生年金と共済年金を一元化する法案が国会に提出された。法案によれば、今後は公務員か民間会社員かを問わず、同じ給与であれば同じ保険料を負担し、同じ年金を受け取る仕組みになっている。将来の公平を約束するだけでなく、恵まれた給付水準といわれる過去の文官恩給の削減にも(勇み足との声もあるが)踏み込んでいる。積立金の仕分けなど細かな論点は残っているが、20年以上進まなかった懸案を解決する、大きな改正だと言える。

一元化後も各共済は存置され、保険料の徴収や記録の管理、給付事務や積立金の運用を引き続き行う。この点に対しては、「一元化になっていない」との批判もあろう。しかし、これらの業務を各共済が行うことは、各共済が医療保険の保険料徴収や管理を継続することから、効率性を優先した判断だと評価できる。「国民年金の未納の増加は、徴収事務を地方自治体から国(社会保険庁)に移管したことが一因だ」という意見があることからも、妥当な判断といえよう。

ただ、年金財政の運営方法については、問題を指摘する声もある。法案では、各共済の保険料収入や運用収入を1つの勘定に集めるのではなく、毎年の給付を各制度の保険料収入や積立金の比率で按分して拠出するという複雑な仕組みをとっている。この仕組みに対しては、「各共済を財政単位として残し、それぞれが赤字にならないように、また各共済が運用する積立金が急減しないための配慮だ」との指摘がある。

この問題に対して、「厚生年金や各共済に納められた保険料収入や積立金の運用収入を1つの勘定に集め、そこから毎年の給付をまかなう方がシンプルな仕組み」という意見がある。「せっかく一緒になるのだから、へそくりを疑われないように財布を1つにする方がわかりやすく、互いの信頼を築く第一歩になる」というこの考え方には、我が家の日常を顧みて、妙に納得させられる。

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保険研究部   主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度

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