2007年04月20日

中国経済動向~内外での不均衡を伴う高成長が続く~

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  • 1~3月期の中国の成長率は前年同期比11.1%であった。投資と消費の伸び率格差や、都市と農村の所得格差の縮小は緩やかなペースに留まり、貿易黒字はむしろ拡大、内外での不均衡を伴う高成長という基本的な構図が維持された。
  • 貿易黒字は年初のような急激な拡大には歯止めが掛かる見通しだが、インフレ率は3月単月では年間目標の3%を突破、食品価格が主因ではあるものの、旺盛な需要と政策要因から全般的に物価上昇の圧力が強まっているため、警戒が必要となっている。
  • 外貨の大量流入には、市場介入で人民元の切り上げペースを調整する為替政策と、過剰流動性の吸収に主眼を置いた金融政策の組み合わせでの対応が継続された。結果として、実効為替相場で見た価格競争力は維持されているが、マネー・サプライ、銀行貸出の高い伸びが続いており、流動性のコントロールは十分になされていない。
  • 追加利上げは不可避ながら、小幅、且つ、緩やかなペースは崩せず、過剰流動性と対外的な不均衡に起因する摩擦への政策対応には決め手を欠く状況は続こう。
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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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