コラム
2007年04月02日

団塊の世代による壮大な実験の始まり

常務取締役理事   神座 保彦

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2007年は団塊の世代が定年退職年齢を迎える年である。団塊の世代は人数が多いだけに、その影響力の大きさが前もって喧伝されてきたが、いよいよそれが実証される時に至った。

これまでの団塊の世代論議では、2007年を以って社会が不連続に変化するかのような論調もあったが、実際のところは、もう少し緩やかな変化となっているようだ。また、団塊の世代が65歳を迎えて本格的な引退生活に入る時期、すなわち、ここから5年後こそが変化の節目と考える見方も出てきている。どの時点でリタイアするかは人により様々であるとしても、大括りにみれば、ここから数年のうちに、彼らが様々な場面で重みを増してゆくということは確かなことであろう。

人生80年時代の枠組みのなかで、金と時間と健康を備えた団塊の世代は、これから人生後半における輝かしい日々をスタートする。現役時代に身につけた知識や経験、人的ネットワークがあるだけに、彼らが労働市場に還流したり、社会貢献の分野に参入したり、あるいは、消費者として独自のニーズに基づいて商品を選別したり、といったことを始めれば社会への影響力は大きかろう。もちろん、社会に急激な変化をもたらすわけではないにせよ、団塊の世代がマジョリティーであるだけに確実に変化をもたらしてこよう。

このような彼らを市場の側から見れば、非常に眼の肥えた消費者であり、また、トレンドの発信源として位置付けられよう。こうなると、単純に高齢者向けの使い勝手を考慮したタイプのいわゆる「シニアマーケット」や「シルバーマーケット」向けの商品やサービスでは、彼らには歯が立たない可能性がある。新たな商品やサービスを考えるのであれば、「金と時間と健康を備えている眼の肥えた消費者」向けのものを開発することに注力すべきということになろう。

もう少し、長い時間軸で考えるならば、団塊の世代が輝かしい日々を終え、いよいよ老年期に入る時がやってくる。こういった変化ポイントに向けて、商売を目論む企業はもちろんのこと、社会的な制度・サービスや環境を提供する立場にある行政組織や社会貢献を目指す非営利団体なども、フォーカスすべき部分を連続的に修正することが必要となってくる。
   団塊の世代は、定年退職というイベントで影響力を持つだけでなく、そのライフサイクルの過程を通じて影響力を行使し続けるものと考えられる。2007年は、その壮大な実証実験の開始の年ということになろう。

常務取締役理事

神座 保彦 (じんざ やすひこ)

研究・専門分野
ソーシャルベンチャー、ソーシャルアントレプレナー

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