2007年03月02日

金融政策・市場の動き~当面の注目は、4月の審議委員人事と展望レポート

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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  1. 2月21日の決定会合で、無担保コールレートを0.25%から0.5%、補完貸付基準貸付金利を0.4%から0.75%への引き上げを8対1の賛成多数で決定した。反対1名は岩田副総裁で、97年の新日銀法のもとで初めて総裁・副総裁の議決が割れた。
  2. 市場との対話がうまくいっていなかっただけに、利上げロジックの理解を市場が十分理解しているとは言いがたい状況。市場との対話再構築が日銀にとって急務。
  3. 金融政策の当面の注目は、4月の2人の審議委員人事と4月27日の展望レポート。後任が岩田副総裁の意見に近い人選となった場合、政策判断で足元のCPIの動きをより重視する意見が強まる可能性あり。展望レポートでは、10月対比で消費者物価の低迷など経済・物価情勢が大きく乖離している。もう一度市場との対話をスムーズにするためにも、展望レポートの景気・物価情勢の見通しを示し、利上げロジックの再検討が必要。
  4. 長期金利は、ボックス圏内の動きを基本としながらも、米長期金利の動きに左右される展開が続くと予想する。07年後半以降、賃金上昇の動きが緩やかに見えはじめ、日銀の追加利上げが少し早まるとの見方になれば、長期金利の上昇幅も拡大しよう。
  5. 円ドルレートは、足もと世界同時株安の影響で円が少し戻しているが、ドル堅調の動きは当面続くだろう。ただし、米国のソフトランディング期待は高まっているとはいえ、成長鈍化の方向性には変わりなく、利下げ期待が払拭されたわけではないこと、また世界の通貨間では円の独歩安の状態となっていることで潜在的な円高圧力が高いことなどから、上値も限られよう。
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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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