コラム
2006年12月18日

2007年はどんな年か

経済研究部 専務理事   櫨(はじ) 浩一

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1. 拡大が続いた2006年
一足早いが、今年を振り返って来年はどんな年になるか占ってみたい。2006年を振り返ると、世界経済は予想を上回る好調を維持し、日本経済もこれまで戦後最長であった、いざなぎ景気を超えたかというほどの長期の景気拡大が続いた。
失われた10年とも言われた長期の低迷を脱したことで、日本経済に対する見方も、それまでのデフレが続き、日本経済は低迷から脱出できなそうもないという悲観的なものから、前向きのものが増えてきた。もちろん格差の拡大や、韓国などNIES諸国だけでなく、中国やインドからも追い上げられるという厳しい状況は続いている。しかし日本社会を覆っていた閉塞感はかなりの程度払拭されたと言えるだろう。
日本経済は、ようやく不良債権処理などのバブル崩壊の後遺症という過去の問題への対応に追われる状況から解放されて、将来に眼を向けることができる状態になった。

2. 本格的高齢社会の入り口に
2005年の国勢調査の結果が出て、日本の人口は2004年末をピークに減少し始めたことが確認された。2007年の日本は、本格的高齢社会の入り口に来たと言えるのではないか。
2007年は第二次世界大戦後の1947年から1949年に生まれた、いわゆる団塊の世代が多くの企業が定年年齢としている60歳を迎え始める年だ。団塊の世代は、その前の世代に比べて人口規模が急激に拡大したため、ありとあらゆるものが不足し、世代内の競争も他の世代に比べて厳しいものとなった。子供の急増は各地で教室不足を招くほどで、学校はすし詰め状態となり、厳しい大学受験競争は「戦争」と形容された。大学に入ると学生運動で、学園紛争を引き起こし、社会に出て会社に入ると一転してモーレツ・サラリーマンとなってバリバリ働く一方で、結婚して家庭を築くとニューファミリーと呼ばれるような、それ以前の世代とは異なった家庭価値観を持つ人々も出てきた。
団塊世代はこれまで日本の経済・社会に大きな変化をもたらしてきただけでなく、高齢化することによってさらに大きな変化を及ぼすようになるだろう。

3. 求められる発想の転換
政府も少子化対策に対する取り組みを強化しているが、その成果がすぐに現れることを期待するべきではない。少子化対策が成功して出生率が急回復したとしても、その子達が労働力に育つまでには15年以上の年月がかかる。日本の生産年齢人口は1995年をピークに既に減少を続けており、高齢者の就業を促進してもかつてのように労働力人口が増えるというわけにはいかない。
日本経済はバブル崩壊の後遺症を克服し、長期低迷を脱したとは言うものの、昔に戻るわけにはいかない。団塊世代の高齢化によって労働力人口が減少することが避けられない中で、高度成長期の様な量的拡大を求めれば、人手不足や資本の収益率低下を招いて、バブル景気崩壊の二の舞を演じることになる恐れも大きい。
しかし、もともと経済成長とか豊かになるとかいうことは、量の拡大だけを意味したものではない。所得が二倍、三倍になったからと言って、食べられる食事の量が二倍、三倍になるわけではない。食べる物の量は変わらなくとも、より手の込んだ料理や入手するのが困難な食材が楽しめる、より雰囲気やサービスの良いレストランが利用できるようになるという、質の改善によって消費の実質的な拡大が起こるのである。
2007年の日本経済では、量より質という発想の転換が重要になるのではないだろうか。

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経済研究部   専務理事

櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)

研究・専門分野
マクロ経済・経済政策

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