2006年12月01日

2007年度予算のポイント

  篠原 哲

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  • 12月24日に、2007年度政府予算案が閣議決定された。一般会計の総額は82.9兆円であり、前年度当初予算の79.7兆円からは+3.2兆円の増加となった。交付税特別会計の借入金返済分としての国債費の増加や、社会保障関係費の増加等により、歳出総額は当初予算ベースで2年ぶりの増加に転じた。一方、歳入面では税収(租税・印紙収入等)が53.5兆円と、前年度当初予算から+7.6兆円もの大幅な増収が実現した。これにより、安倍首相が事前に「過去最大の減額を実施する」と発言し注目が集まっていた新規国債発行額についても、前年度当初予算の30.0兆円から約▲4.5兆円もの過去最大の減額が実現し、25.4兆円に抑えられることになった。

  • 財政再建に向けて注目が集まる国(一般会計)のプライマリーバランス赤字も、前年度当初予算の▲11.2兆円から▲4.4兆円まで改善した。プライマリーバランスの赤字は、2003年度には▲19.8兆円(決算ベース)にまで達していたが、その後の4年間で赤字は1/4程度にまで縮小したことになる。

  • 今回の当初予算は、当面の財政再建の目標である「国と地方のプライマリーバランスの黒字化」に向けての、安倍内閣のスタンスが示されるという意味合いもあり、消費税の増税の前に、どこまで歳出抑制路線が徹底され、国債発行額とプライマリーバランス赤字の削減が実現するかが、最大の注目点となっていた。結果としては、特殊要因等もあり、歳出規模を前年度よりも減額することはできなかったが、景気の拡大による税収の大幅増という追い風により、国債発行額の過去最大規模の減額が実現し、一般会計のプライマリーバランス赤字も▲4.4兆円まで縮小した。確かに道路特定財源の問題や、社会保障給付などを中心とする今後の歳出抑制の具体策、さらには将来的な増税の議論など、まだまだ検討していくべき課題は多く残されていることは間違いないところであるが、プライマリーバランス赤字が大きく縮小したこと自体は、黒字化の達成に向けて大きな前進と考えて良いだろう。

  • 今後も経済の拡大が続き、歳出削減が徹底されれば、増税の規模が「骨太の方針」で示された規模よりも小さくなるだけでなく、当面の目標である「国と地方のプライマリーバランスの黒字化」も、2011年度より1-2年ほど前倒しで実現される可能性が高まってくるだろう。強い政治のリーダーシップのもと、経済成長、歳出削減、歳入拡大のバランスの取れた政策運営がどこまで実施されるかが、プライマリーバランス黒字化だけでなく、財政再建の最終目標である「債務残高GDP比の低下」の実現に向けた最大のポイントと言えよう。

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