- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 景気変動と長期金利:G7諸国に関する実証分析
1.
本研究は、日本銀行のゼロ金利政策の解除によって回復される金利の機能について、標準的な資産価格モデルである「ルーカスの木」に基づき、日本の長期金利に焦点をあて議論する。「ルーカスの木」によれば、資産価格とは、通時的代替の下で行われる消費の平準化を図る手段としての価値に等しい。その下で導かれるオイラー方程式・フィッシャー方程式によってそれぞれ決定される実質・名目長期金利を計測し、G7諸国と国際的に比較することにより、以下の日本の特徴が明らかになった。
2.
日本における長期金利の水準は、実質金利が3.71%、名目金利が4.45%のオーダーであり、資産バブルが脹らみ始めた80年代後半の水準に匹敵する。日本においては、消費の成長率とインフレ率との間の共分散が正の値をとることから、マイナスのインフレ・プレミアムが発生している。日本におけるゼロ金利政策の影響によって、実質金利で0.7%、名目金利で1.5%だけ低くなっている。実質金利については、消費の成長率がG7諸国の間できわめて近い平均値を示しているため、G7国の間で然したる差異はない。G7諸国の間で大きな差異が見られる名目金利については、第一に、インフレ率の平均値に関して、日本が最も低く、低い期待インフレ率が名目金利の低さに反映されている。第二に、消費の成長率とインフレ率の間の共分散に関して、G7諸国中、日本が最も大きく、マイナスのインフレ・プレミアムが発生している。よって、マイナスのインフレ・プレミアムが名目金利を低める要因となっている。
このレポートの関連カテゴリ
竹田 陽介
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月24日
米国でのiPhone競争法訴訟-司法省等が違法な独占確保につき訴え -
2024年04月23日
他国との再保険の監督に関する留意事項の検討(欧州)-EIOPAの声明 -
2024年04月23日
気候変動-温暖化の情報提示-気候変動問題の科学の専門家は“ドラマが少ない方向に誤る?” -
2024年04月23日
今後お金をかけたいもの・金融資産 -
2024年04月23日
今週のレポート・コラムまとめ【4/16-4/22発行分】
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【景気変動と長期金利:G7諸国に関する実証分析】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
景気変動と長期金利:G7諸国に関する実証分析のレポート Topへ