2006年09月25日

景気変動と長期金利:G7諸国に関する実証分析

  竹田 陽介
経済研究部 チーフエコノミスト   矢嶋 康次

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1.
本研究は、日本銀行のゼロ金利政策の解除によって回復される金利の機能について、標準的な資産価格モデルである「ルーカスの木」に基づき、日本の長期金利に焦点をあて議論する。「ルーカスの木」によれば、資産価格とは、通時的代替の下で行われる消費の平準化を図る手段としての価値に等しい。その下で導かれるオイラー方程式・フィッシャー方程式によってそれぞれ決定される実質・名目長期金利を計測し、G7諸国と国際的に比較することにより、以下の日本の特徴が明らかになった。
2.
日本における長期金利の水準は、実質金利が3.71%、名目金利が4.45%のオーダーであり、資産バブルが脹らみ始めた80年代後半の水準に匹敵する。日本においては、消費の成長率とインフレ率との間の共分散が正の値をとることから、マイナスのインフレ・プレミアムが発生している。日本におけるゼロ金利政策の影響によって、実質金利で0.7%、名目金利で1.5%だけ低くなっている。実質金利については、消費の成長率がG7諸国の間できわめて近い平均値を示しているため、G7国の間で然したる差異はない。G7諸国の間で大きな差異が見られる名目金利については、第一に、インフレ率の平均値に関して、日本が最も低く、低い期待インフレ率が名目金利の低さに反映されている。第二に、消費の成長率とインフレ率の間の共分散に関して、G7諸国中、日本が最も大きく、マイナスのインフレ・プレミアムが発生している。よって、マイナスのインフレ・プレミアムが名目金利を低める要因となっている。

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