2006年09月25日

ライフデザインの新世紀(その1)-ライフデザインが必要な時代-

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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1.
今日、日本は長寿社会になり、子どもを産み・育てるという人口再生産のライフサイクルを終えたあと、さらに何十年という長い老後を享受するようになった。それは自由に時間を使うことのできるいわば“人生の収穫期”であり、われわれはこの長くなった人生をどのように生きるのかという新たなライフデザインを必要とする時代を迎えている。
2.
日本人の平均寿命は大幅に伸び、「人生80年時代」となった。また、出生から65歳までの生存率は戦後の5割以下から9割近くまで高まり、ほとんどの人が高齢期を人生の一時期として過ごすことが当たり前の時代になった。このような長寿化とは寿命が長くなることだが、社会全体としては死亡数が増加していく社会であり、今後は出生数の減少と相まって人口の自然減が始まり、日本は本格的な人口減少社会へと進んでいく。
3.
この人生の長期化は人生の中の主要なライフイベントを先送りしている。大学進学などにより就学期間が長くなり、就職年齢が高くなっている。また、長学歴化と就職の高年齢化は、晩婚化をもたらし、そして晩産化となる。子どもの成人や世帯分離の時期を迎える親の年齢は高くなり、子どもの扶養期間が長期化し、親の退職時期の先送りの可能性もある。
4.
われわれの日々の暮らし方であるライフスタイルは家族形態と深く関わっている。世帯構造の変化をみると、世帯の縮小が続いている。その理由は、ひとり暮らしである単独世帯や夫婦のみ世帯が増加し、世帯規模の大きい夫婦と子ども世帯や三世代世帯が減少しているからだ。中高年の単独世帯の増加は、晩婚化や非婚、離婚、高齢夫婦の死別などによる。また、未婚、非婚、離婚、再婚など配偶関係の変化も著しい。
5.
総務省「社会生活基本調査」によると、1次活動(睡眠、食事など生理的に必要な活動)と3次活動(余暇活動など)が増加し、2次活動(仕事、家事など社会生活を営む上で義務的な性格の強い活動)が減少している。1次活動や2次活動への時間配分は個人の自由度は低いが、3次活動に対しては個人の価値観やライフスタイルが大きく反映する。今後は、統計上の数値が示す量的な時間配分の問題よりも、生活時間の3分類には分類しきれないような質の活動や生活時間領域が重要になろう。
6.
本リポートでは人生の長期化により主要ライフイベントである就職や結婚、出産、世帯分離、退職等が先送りされ、暮らしの単位ともいえる世帯・家族の形態が多様化していることを提示した。次稿では新たな生き方を検討するための基本方向を示すライフデザインの羅針盤を提示したい。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

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