2006年09月01日

DCの加入者間格差と事業主の責任

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

加入者200万人、資産残高2兆円に達した確定拠出年金制度は、いよいよ企業年金の核の1つとなりつつある。そこで問題になるのは、加入者間のパフォーマンス格差である。平成17年度では、国内株中心に40%以上のリターンをあげた加入者と元本確保型で運用した結果、リターンが1%に満たない加入者との間で対照的な結果となった。
パフォーマンス格差が続くと、引退時には年金額に大きな差が生じる。また、多くの制度では、2~3%の利回りを想定して掛金額を決めているので、1%程度のリターンでは引退時点の積立額が予定よりも2、3割小さくなってしまう。
企業年金である以上、事業主はこの問題を看過できない。第1に年金のような長期投資では、特に若い間にリスク許容度が高まる点を、投資教育を通じて徹底すべきである。第2にデフォルト・ファンドとして、引退時点まで投資し続けた場合に想定利回りを達成する確率が最も高い資産配分の商品を用意すべきである。
現行法では投資教育は事業主の努力義務にすぎない。が、今後は、長期運用やリスク分散の考え方を伝え、加入者に最適な投資行動をとらせることが、確定拠出年金をさらに発展させる鍵となろう。

Xでシェアする Facebookでシェアする

このレポートの関連カテゴリ

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【DCの加入者間格差と事業主の責任】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

DCの加入者間格差と事業主の責任のレポート Topへ