2006年08月25日

ゼロ金利解除後、家計金融資産はどう動く

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

文字サイズ

■目次

1.1500兆円を超えた家計金融資産
2. 投資拡大に「不安」減が大きく影響
3.過度の安全指向は減少するも、収益面から預金の魅力高まる

■introduction

日銀の資金循環勘定で家計金融資産残高の推移を示したものが図表-1である。統計が開始された79年度以降、対前年での増加が20年程度続いてきたが、ゼロ金利政策開始(99年2月)後、2000年度に初めて減少に転じ、以降3年間は減少が続いた。しかし03年度より再び増加し始め、2005年度末は1506兆円と過去最高の残高に回復している。
「貯蓄」と「投資」という区分で見ると、預金を中心とした貯蓄重視の傾向は、90年以降強まってきたが、残高が再び増加に転じた2003年以降は、株式、投信といったリスク性資産への投資割合が増加している(図表-2)。
金融広報中央委員会の調査でも、年齢、年収、市郡規模別など、どのような属性でもリスク資産保有の経験なしの割合が減少しており、ミクロでは投資の裾野は広がっていることが確認できる(図表-3)。
ただし、投資への流れの実態は、今のところ控えめな評価にとどめておいたほうが良さそうだ。株式・出資金残高の増加額は、ほぼ株式時価の上昇で説明し得る状況にあるためである(図表-4)。
ミクロでは確実に投資が広がっていることが観察されるとはいえ、マクロ的には着実にゆっくりしたペースにとどまっているというのが真相のようだ。

Xでシェアする Facebookでシェアする

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【ゼロ金利解除後、家計金融資産はどう動く】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

ゼロ金利解除後、家計金融資産はどう動くのレポート Topへ