2006年08月18日

拡大が続く中国の貿易黒字

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  • 今年1~7月期の中国の貿易黒字は前年同期を5割上回る759.5億ドルに達し、通年の貿易黒字は、過去最高となった2005年を上回る見通しとなっている。
  • 貿易黒字の増加は、繊維・衣類、その他製品という労働集約的製品の黒字拡大と金属製品、機械機器の収支の黒字転化によるものである。
  • 機械機器は域内での産業内貿易の発展により貿易の過半を占めており、収支の改善は、輸出生産能力の増強、汎用部品等の輸入代替の進展、設備投資の一巡によるものである。輸出の担い手、貿易黒字の稼ぎ手としての外資系企業のプレゼンスは高まっている。
  • 貿易黒字が膨らむ過程で、最終製品の輸出先となっている米国やEUに対する黒字が増加する一方、集積回路や液晶デバイスなど基幹部品等の調達先である日本、台湾、韓国などへの赤字拡大は続いている。中国を巡る貿易不均衡は、労働集約的製品分野での中国の比較優位とともにアジア域内分業の広がりを反映したものである。
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伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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