2006年03月01日

米国のキャッシュバランスプランの行方

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日本に輸入され、すっかり定着した感のあるキャッシュバランスプランであるが、お膝元の米国ではIBM訴訟や会計基準の曖昧さもあり、なかなか企業側も手を出しにくい状況が続いている。一言で言えば、諦めて確定拠出年金を導入するか、様子見の態度を貫いているようである。
しかし昨今、ブッシュ政権、上院、下院のそれぞれからキャッシュバランス制度の改革案が出されている。そのどれもが、年齢差別禁止法、whipsaw(のこぎり:勘定残高=選択一時金とならない米国給付建て制度に起因する問題)、wear-away(磨り減り:経過措置を設けても既存給付に追いつかない期間が発生する問題)の3問題に関して適切な規制を行なうが、キャッシュバランス自体は認めていくのが基本方針のようである。
日本のキャッシュバランスプランには、今のところ法制面の違いがあるので、米国のような問題は生じていない。しかし、受給権保護の規定に関しては、今後、拠出建て制度に限りなく近い給付建て制度の設計などの工夫が試みられる可能性が高い。法律の見直し時期に入った今、年金関係者は給付設計の基本的なあり方について、考え方の整理のための議論をはじめる必要がある。

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【米国のキャッシュバランスプランの行方】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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