2005年11月08日

熱を帯びる不動産投資市場の行方 -不動産市況アンケート結果より

松村 徹

岡 正規

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■見出し
1. 上昇局面を迎えた東京のオフィス賃料
2. 不動産取引価格の現状
3. 不動産投資市場の展望

■introduction

東京都心5区の賃貸オフィス市場では、2003年6、8月に8.6%のピークをつけた空室率が4%台前半の水準にまで低下した。このような需給関係を反映して、新規に契約されるオフィス賃料も、2004年10月にようやく底打ちし、その後はゆるやかな上昇に転じている(図表-1)。
2003年前後に、大型ビルで多くみられたフリーレント(一定期間の賃料無料設定)契約は、現在ではほとんど適用例がなくなったといわれており、実質支払い金額ベースでみた賃料水準はより力強い回復を示していると推測される。
このような賃貸オフィス市場の変化は、最近の完全失業率低下にみられるように、多くの企業がリストラによる収益回復から新たな成長局面に移行し、それに伴いオフィス需要も着実に増加していることが背景にあるものと考えられる。
ニッセイ基礎研究所が、不動産投資に携わる実務家・専門家に対して行った市況アンケートでも、賃貸オフィス市場の先行きを楽観する傾向が昨年同時期に実施したアンケートより強まっている。東京の賃貸オフィス市場について1年後の見通しを聞いたところ、昨年では「現状維持(横ばい)」が30.8%で最も多かったが、今回は「空室率は低下、立地・規模・設備に優れるビルでは新規賃料が上昇する。ただし、既存テナントの賃料引上げは一部にとどまる」というやや楽観的な見方が62.5%と圧倒的に多く、現状維持や悲観的な見方はほとんどなくなった(図表-2)。
なお、このアンケートは、不動産・建設、金融・保険、仲介、不動産管理、不動産ファンド、格付、投資顧問・コンサルタントなどに携わる132名を対象に、2005年10月11日~25日に電子メールで実施したもので、80件の回答を得た(回収率60.6%)。

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