2005年07月22日

対中貿易摩擦と人民元切り上げに対する欧米のスタンス

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  • 対中貿易摩擦と人民元切り上げ圧力が広がる中、中国は21日に人民元の対ドル相場の約2%の切り上げと通貨バスケット制の採用を含む為替相場制度の変更を発表した。
  • EUと中国の間では、多国間繊維協定(MFA)の完全撤廃で輸入が急増した繊維・衣類などの分野ではセーフガードの発動も視野に入れ協議が行われているが、ユーロ独歩高が修正されていることなどから、人民元に対するEUのスタンスは、産業界・議会からの圧力もあり一層の調整の必要性を強調する米国に比べて、マイルドだ。
  • EU域内では非コア国を中心に対中繊維・衣類輸入急増の影響が見られ、南アジアからの輸入も大幅に減少している。米国市場では中南米やアジア諸国がシェアを奪われている。中国の世界貿易における急激なプレゼンスの向上には、中国と基本的に補完関係にある欧米以上に、競合関係にある途上国にとって大きな問題となりつつある。
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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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