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- 再考/東京オフィス市場の「2010年問題」 -ビル需要の多様化がオフィスワーカー減少の緩衝材に
■見出し
1. 減少したオフィスワーカー数
2. オフィスワーカー減少の緩衝材
3. オフィスワーカー数の将来予測
4. 賃貸オフィス市場の展望
おわりに
■要旨
ニッセイ基礎研究所が3年前に発表した『東京オフィス市場の「2010年問題」』を検証したが、東京23区のオフィスワーカーは、団塊世代が定年退職する2005~2010年には約10万人(2005年のオフィスワーカーの約3%に相当)減少し、長期的な減少局面に入る、という基本シナリオに大きな見直しはない。
むしろ、団塊世代の定年を待たず、1995~2000年に約15万人(1995年のオフィスワーカーの約4%に相当)もオフィスワーカーが減少していたことが注目される。これは、1997年の金融危機以降、管理職を中心にホワイトカラーの大幅削減や配置転換などが行われたためと考えられる。ところが、この間、賃貸オフィス市場は順調に拡大して稼働率も上昇しており、オフィスワーカー減少の影響がみられない。
1995~2000年のオフィスワーカー減少が賃貸オフィス市場縮小に直接結びつかなかったのは、オフィスワーカー一人当たり床面積が拡大したことと、専門学校やデータセンターなど事務所利用以外のビル需要が増加したことが緩衝材となった可能性が高い。
ニッセイ基礎研究所では、1995~2000年のオフィスワーカー減少が一時的なものではなく、2000年以降も減少トレンドが続くとみている。一方、オフィスビルの建設は止まらず、2005~2010年に毎年70万m2以上の新規供給が見込まれることから、賃貸オフィス市場全体の需給バランスは悪化が避けられない。
しかし、一人当たり床面積は減少に転じたものの、サービス経済化と人口集中を背景に集客型ビル需要などが引き続き増加し、オフィスワーカー減少の緩衝材として期待できることから、賃貸オフィス市場が当面は比較的堅調に推移するシナリオも想定できる。
いずれにしても、賃貸オフィス市場は階層化しており、都心部のA クラスビルとそうでないビル群、あるいは東京と地方都市とで、賃料動向や稼働状況にかなりの格差が生じるとみるべきである。高度化・多様化する需要を取り込める事業者・運用者と、そうでない者との格差も拡大するであろう。
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松村 徹
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