2004年12月25日

フランチャイズ・ビジネスの存続状況とその決定要因

  小本 恵照

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1.
本稿は、『日本のフランチャイズ・チェーン』(商業界)というフランチャイザーの名鑑を用いて、フランチャイズ・ビジネスの存続率を推定し、併せてその存廃に関する決定要因を分析することを目的とする。
2.
推定結果によると、1991年度から2003年度までの12年間の存続率が31%と、非常に低いことが判明した。ただし、この存続率は欧米での結果とほぼ同様である。
3.
フランチャイザー間の存続率の違いの原因については、イベント・ヒストリーの手法を用いて分析を加えた。それによると、創業からフランチャイズ事業を開始するまでの期間である「フランチャイズ準備期間」と、フランチャイズ事業の開始からフランチャイジーの本格募集までの期間である「フランチャイズ助走期間」とが、存続率に有意な影響を与えていることが確認された。すなわち、フランチャイズ事業の開始やフランチャイズ加盟店の本格的な募集を性急に行わず、ビジネス・ノウハウやフランチャイズ事業の基盤の充実に努めた上でフランチャイズ事業を本格展開する企業ほど存続率が高いことが判明した。また、長期のフランチャイズ契約期間を提示している企業ほど、存続率が高いことも明らかとなった。長期の契約期間を提示することは、一定期間、契約内容を変更できないことを意味する。つまり、展開するビジネス内容が堅固で、将来のビジネス・リスクが小さいことにチェーンが自信を持っていることの表れと考えることができる。
4.
フランチャイズは、フランチャイジーが提供する資金や人的資源を利用することが可能となるというメリットを持ち、中小企業のビジネス拡大の有力な手段であることは疑いない。しかし、本稿での分析結果は、性急にフランチャイズ展開することの危険性を示唆している。
5.
フランチャイズ展開を検討している企業には、ビジネスの内容を十分吟味し、業務のマニュアル化やフランチャイジーに対する教育・支援体制の確立など、十分にフランチャイズ展開できる見込みが立った上で、本格的なフランチャイズ募集を行うことが望まれる。フランチャイジーは、フランチャイザーの事業内容、経営状況、フランチャイズ契約内容などを十分吟味した上で、自分の適性を冷静に見極め、加盟を決断することが期待される。なお、フランチャイジー希望者に対する情報開示については、徐々に充実が図られているが、依然として不十分な点も残っている。行政にはフランチャイザーに関する情報開示の充実を図る制度の改善を期待したい。

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