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- 東京のオフィス市場動向 -不透明な賃貸市場と過熱する投資市場
■見出し
・先行き不透明な賃貸オフィス市場
・見逃せない階層格差の存在
・過熱する投資市場と賃貸市場の温度差
■要旨
東京の賃貸オフィス市場は、2003年第3四半期をピークに低下してきた空室率が3期連続横ばいとなり、賃料下落も止まっていない。また、これまで長期的に増加傾向にあったオフィスの一人当り賃貸床面積が縮小傾向に転じていることも、市場の先行きを不透明なものとしている。
ニッセイ基礎研究所が先頃行った実務家・専門家に対する市況アンケートでも、「2003年問題」を乗り越えて悲観論は極めて少なくなったものの、市場の先行きには未だ慎重な見方の市場関係者が多いことがわかる。
ただし、賃貸オフィス市場は階層構造となっているため、エリアや規模など市場をセグメントして見ないと市況判断を誤る可能性がある。たとえば、東京都心部の大規模ビルでは賃料の反転も見込まれる一方、都心周辺部の中小ビル群では賃料の長期低迷も懸念される。
不動産投資市場は、賃貸オフィスビルを中心に活発な取引が行われており、ファンドバブルともいわれる状態にある。これは、不動産のインカム利回りの相対的な高さに加え、イールドギャップ(不動産利回りと借入金利の差)を生かしてレバレッジを効かせた有利なエクティ投資機会があるためである。
また、不動産証券化市場の拡大で、不動産の流動性と透明性が高まり、リスクプレミアムが低下したこと、外資中心だった投資家層が国内の機関投資家に拡大して期待利回りが低下してきたことも価格上昇の背景にある。
市況アンケートで市場関係者の現状認識を聞いたところ、「理解を超えた価格の取引が増えている(バブルに近づく)」という意見が59.7%と1位を占め、賃貸オフィス市場の先行きについては慎重な見方が多かったことと比べると、賃貸市場と投資市場の温度差が感じられる。
今後、ペイオフ解禁(2005年4月)や減損会計実施(2006年3月期決算)が予定され、金融緩和政策が今しばらく維持されるとすれば、不動産投資利回りがさらに低下した場合でも、市場の加熱状態が続く可能性を否定できない。
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