2004年09月25日

リスク社会における「自助努力」「自己責任」 -リスク意識と消費の成熟化からみた生活保障サービスの方向性-

  栗林 敦子

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1.
現代人を取り巻く生活リスクには様々なものがあるが、「リスク社会」と呼ばれる近代産業社会の中で、個人が自らのリスクへの対応をするように政策が転換されてきた。「自助努力」「自己責任」がそのキーワードとなっている。
2.
家計面におけるリスクマネジメントを考えると、自助努力、自己責任での生活が達成できるのは、主として富裕層である。生活保障サービスを提供する金融機関が富裕層を顧客の中心に据えると、生活者のリスク対応は二極化する恐れがある。
3.
これまで日本人はリスクマネジメントの発想が乏しいといわれていたにもかかわらず、家計リスクへの対応を目的としたサービス商品である「保険」は、順調に市場を拡大してきた。生命保険については、その背景には、生活者のリスク意識から発生する保障ニーズだけでなく、生活者にリスクを想起させることが可能な「訪問販売」方式による営業活動の存在が大きい。
4.
今日の生命保険の加入実態をみると、需要構造の変化が見られる。個人レベルのリスクマネジメントが重視され、生活者の消費についての成熟化が進んだ今、従来の生活保障の商品やサービス以外のニーズが現れ、生命保険市場が変化をし始めたといえる。最近は「安定した収入」についての不安が増加しているが、それに対応可能な保障領域として「ディサビリティ」を取り上げてみた。
5.
生活保障サービス提供機関には、富裕層以外にも目を向け、一般人が自助努力、自己責任で生きていけるような取り組みが求められる。

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