2004年05月25日

経営トップ交代の効果とガバナンスの影響 -在任期間とエントレンチメント-

  青木 英孝
  新田 敬祐

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一般に、経営パフォーマンスが低下したときに現職の経営者を適切に交代させることは、コーポレート・ガバナンスが有効に機能していることを示すひとつの現象であると理解されている。しかし、この交代という規律付けメカニズムが、どの程度の経済的効果を持つかは、ほとんど明らかにされていない。
そこで本稿では、経営トップの在任期間に焦点を当て、これが長期化するのにともなって、エントレンチメント行動から生じるコストが拡大する可能性を検討する。この経営者のエントレンチメント行動は実際には観察できないが、企業のパフォーマンスからこれを推察できると考えられる。こうした観点から実証分析を可能とするフレームワークを提示し、現実の企業データを用いて、ここで想定したようなコストの拡大は確認できるのか、確認できるとしたらその影響はどの程度かを分析した。
その結果、経営パフォーマンスは、経営トップの在任期間が一定年数を超えると、低下する傾向があることが明らかとなった。このことは、在任期間の長期化にともなって、エントレンチメントによるコストが拡大する可能性を示唆する。また、パフォーマンスが低迷しているにもかかわらず、長期政権を維持している企業で、経営トップの交代が発生すると、その後のパフォーマンスは急速に改善する。このことは、適切な交代が大きな経済的価値を持つことを意味する。
さらに、企業のガバナンス面での特徴が、交代メカニズムにどのような影響を与えるかについても分析した。交代メカニズムを効率化するガバナンス構造の特定には至らなかったものの、このメカニズムには、外部からの圧力よりも、経営組織の内部構造の方が強い影響力を持つことがわかった。ここから、外部からのモニタリングという間接的なガバナンス形態だけで、交代メカニズムを効率化することには限界があり、内部コントロールの実効性を向上させる方法を、より直接的に模索することが効果的である可能性が示唆される。

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