2004年05月25日

持合い解消の計量分析 -分化する企業・銀行間の株式持合い構造-

宮島 英昭

黒木 文明

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1990 年代、特に後半に、わが国上場企業の株式所有構造は大きく変容した。法人安定株主の保有比率が急速に低下する一方、所有構造の企業間分散が大幅に拡大した。われわれは、別の機会に、この持合い解消(ないしその維持)を、金融機関と事業法人双方の主体的選択の問題として取り扱い、その決定要因に関する第1次的な分析を試みた(宮島・黒木2002)。しかし、同稿は、(1)銀行部門を単一の主体として仮定した分析であり、各銀行のポートフォリオが明示的に考慮されていないこと、(2)銀行の不良債権問題に注目しながら、それを示す変数が導入されていないこと、(3)3決算年度を1期間としているため、売却行動が同時なのか、一方が先行するのかが厳密には不明なことなど、いまだ改善すべき多くの問題が残されていた。本稿では、先の分析をさらに拡張し、近年の持合い解消の決定要因に接近する。具体的には、銀行株価の下落と不良債権問題が深刻化した90 年代後半に焦点を合わせ、(1)個々の銀行と事業法人の株式保有関係につき、各年の解消・継続の選択を直接対象とし、さらに、(2)選択決定モデルに銀行の財務構成を直接考慮した分析を試みた。

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