2004年03月26日

家計所得を下押しする財産所得の減少

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

文字サイズ

<低金利による利子所得の減少が家計を圧迫>

  1. 労働分配率(雇用者報酬/国民所得)は高止まりしているが、財産所得まで含めた家計への分配はむしろ低下しており、逆に国民所得に占める企業所得の割合が上昇している。
  2. 超低金利の長期化は、家計の利子所得を減少させ可処分所得低迷の一因となる一方、企業の利払い負担を大幅に軽減することにより、企業収益を押し上げている。
  3. 所得の低迷が続く中でも個人消費が比較的堅調なのは、貯蓄率が低下しているためであるが、今後は所得面からの下支えが必要不可欠である。
  4. 現在、企業部門内にとどまっている潤沢なキャッシュフローが、賃金あるいは配当という形で家計の所得へとつながることが、個人消費の本格回復の条件と言えるだろう。

<月次GDP>

  • 1月の月次GDPは民間消費、設備投資が好調だったことから、前月比0.7%となった。2月は設備投資の反動減等から前月比▲0.2%と3ヵ月ぶりの減少を予測する。
36328_ext_15_1.jpg
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【家計所得を下押しする財産所得の減少】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

家計所得を下押しする財産所得の減少のレポート Topへ