2003年11月25日

中高齢者のIT利用

社会研究部 准主任研究員   青山 正治

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1.
今後の日本の姿を表象すれば情報化高齢社会が一つのキーワードとなろう。情報化および高齢化ともに今後の日本社会の方向性を規定する大きな社会現象である。本稿ではライフコース・パネル調査の情報機器・サービスの利用および利用状況を軸に、中高齢者のIT活用の変化やカテゴリー別の基本的属性を概観することとした。
2.
隔年で実施しているライフコース・パネル調査の97年と01年の情報機器・サービスの利用の有無とその利用状況のクロス分析を中心として中高齢者のIT利用の現状を概観した。その結果、97年と01年の4年間に現在のIT化を牽引しているパソコン(以後PC)や携帯電話、インターネットの中高齢者による活用が大幅に進展している状況が把握された。
3.
その状況の中には都市規模や所得階層などによって一定の情報格差が存在しているが、ITバブルの崩壊の恩恵でもあるハード・ソフトの価格低下により01年には比較的低位の所得階層にも徐々にPCや携帯電話が普及を始めている状況が確認された。
4.
しかし、パネル調査の特徴を活かし、97年と01年の4年の間に新たにPCや携帯電話(携帯およびPHSを含む)、インターネットの3種の情報機器・サービスについて利用中止・新規利用のケースの集計を行い基本的な属性などを確認した。その結果、従前は大規模な都市の高収入階層で、自営業や会社団体役員などの利用が高い比率を示していたが、01年調査では一定の差異はあるものの中規模の都市での利用者が増えていることや幅広い所得階層で、様々な職業の利用者がこれら主要3情報機器・サービスの利用を行っている状況が確認できた。
5.
利用状況では97年から01年の各種情報機器の「利用する機器・サービスは仕事と私的利用の両方」とする比率が大幅に拡大しつつ、「私的利用」の比率も大きく拡大する傾向が見られ、個人の情報化への対応状況が見てとれる。
6.
今後、中高齢期を迎える人々は情報環境の充実や組織内での情報機器・サービスの利活用を通じて高い水準の情報リテラシーを身につけることが考えられ、中高齢者の情報機器・サービスの利用率は年を追うごとに高まることが推測される。この中高齢者の将来的な高齢期の日常生活を支え、その活力を引き出す上でもITの活用は必須となろう。

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社会研究部   准主任研究員

青山 正治 (あおやま まさはる)

研究・専門分野
少子高齢社会・社会保障

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